薬師如来修復実行委員会の副委員長をさせていただいた。お蔭で、京都の国立美術館まで修復の様子を見せてもらいに行ったんだ。国立美術館では、普通は国宝級のものしか扱ってもらえないところ山形大学の先生のお力添えで特別に修復してもらったなよ。
お薬師様は、足もぼろぼろで立ってられなかったなだ。このままでは、身体の方もだめになってしまうということで、修復してもらったなったな。修復の様子などは、普通見せてもらえないんだけど、これも特別に見せてもらたんだ。
国立美術館の修復する所では、仁王様がゆうに入るすばらしい大きい消毒室で、真空状態にしてガスを入れ燻蒸するんだ。そして薬剤で丁寧に丁寧に解体して、神経を使って気の遠くなる作業だっけ。
残念だったのは、身体の中になにも書いていなかったことだね。仕方ないから作り方とかから、いつ頃のものか推定してもらうしかなかったなね。私は思いがけず、いい思いさせてもらったなよ。
立派といえば、ここの参道も「造った人の技量がはかられる」と、よくほめられんなだ。この長い参道は、木の根でちょっと壊れたり、木を切った時壊した所を修理したくらいで直したことがないなよ。お参りすっときは、ここら辺も見てけろな。
(お話:熊谷武四さん 取材 : 平成6年)
2009.04.12:朝日町エコミュージアム協会