五百川峡谷の自然の素晴らしさ お話 姉崎一馬氏(自然写真家) 五百川峡谷は、何度かボートで下っているが、とにかく素晴らしい自然が残っている。他の所と違って川岸が切り立った崖なので、人の手が入ってない(入れない)から、自然の迫力や豊かさ、景観の素晴らしさを見ることができる。この魅力は、道路から見下ろしても分からない。実際に川を下りながら見ると、川の持っているパワー、大自然のエネルギーを感じる。「こんなにも違うのか?」と思ってしまう。感動の大きさは数百倍違う。
川岸は変化の大きい自然といえる。崖が崩れたりする不安定な場所は、パイオニア的な植物が多い。ケヤキ類をはじめとして水に強い樹木が多く、大木もけっこうある。切り立った川岸では、太くなりすぎると支えられなくなってしまうので巨木とまではいかないが、それでも太い木はいっぱいある。
なにより人が入れないので、生き物たちのサンクチュアリ(逃げ場)となっていて、とても貴重な場所といえる。
以前、仲間と静かに五百川峡谷を下った時には、アオサギやゴイサギ、ヤマセミなどがたくさんいた。特にゴイサギは、四畳半ほどの柳の茂みから100羽以上も出てきて驚かされた。ヤマセミは、数十メートルに一羽は出てきた。この鳥は奥山に行かないとなかなか見られないから、一般的に憧れの鳥となっている。町の中でこんなに見られるのはとても珍しいこと。鳥を観察する人たちにとっては、とても面白い場所でないか。
日本の自然を象徴できるのは、森と川だと思っている。森がなければ川はないし、川がなければ森が育たない。川は、接してみなければ理解できない自然です。多くの人に、素晴らしい五百川峡谷に接して感動して欲しい。きっと、自然の豊かさ、川の恵み、循環など、我々が生かされている根源の自然を感じてもらえるのではないか。
お話 : 姉崎一馬さん(立木) 取材 : 平成19年
姉崎 一馬(あねざき かずま)氏
昭和23年(1948)京都生まれ。朝日町立木在住。
雑木林から原生林まで日本全国の森林をフィールドとする自然写真家。山形県朝日連峰山麓を活動の中心とした子供のための「わらだやしき自然教室」もボランティアとともに行っている。著書に「はるにれ」(福音館書店)、「はっぱじゃないよ、ぼくがいる」(アリス館)など多数。
→
ガイドブック『五百川峡谷』→
五百川峡谷の魅力→
五百川峡谷エリア
2009.04.16:朝日町エコミュージアム協会