八ツ沼落城には悲しい物語がある。八ツ沼城主原家と、鳥屋森城主岸家との婚姻の話だ。
八ツ沼城主、原甲斐守忠重に原半兵衛兼道という若君がおった。また鳥屋ヶ森城主というと、岸美作守にそれは美しい弥生姫という息女がおったそうだ。果沼のお薬師様のお祭りに二人が出会い、見初めるようになった。半兵衛兼道が弥生姫を八ツ沼の名勝地春日沼に誘い、二人は楽しい一時を過ごしていた。
和合に和合但馬守秋広侍がいて、その日に最上川で釣りをしていたが釣れなくて、春日沼で釣をしようと春日沼に来ていた。たまたまそこで半兵衛兼道と一緒にいる弥生姫をみて一目ぼれをしてしまう。和合但馬守は弥生姫を奪おうとしたが、反対に半兵衛兼道の警護の侍におっぱらわれてしまった。
その後半兵衛兼道と弥生姫の結婚話はとんとんと進み婚約した。おもしろくないのが和合但馬守で、花嫁を略奪せんと宮宿清水の渡し場で待ち伏せし、むがさりの行列を襲ったが、行列を守っていた侍におっぱらわれて退散した。腹の虫が納まらない和合但馬守は、山形城主最上義光に八ツ沼城主、原甲斐守忠重と鳥屋ヶ森城主、岸美作守が山形城をねらっていると讒言した。その讒言により最上義光が兵を動かした。これが五百川合戦の原因と言われている。多勢に無勢、八ツ沼城に敗戦の色が濃くなったころ、半兵衛兼道と弥生姫は二人そろって死のうと、お城の後ろ側にある屏風谷へ下り、春日沼に身を沈めた。そして夫婦岩になったと言われている。
お話 : 小松寿一さん(八ッ沼)
※平成10年 旧三中分校シンポジウムにて
※写真は春日沼の弥生姫像
2009.04.21:朝日町エコミュージアム協会