各区の屋台のこだわりと見所第1区 立小路 区長 兼子 正昭さん◆テーマ
現代物というか、その年の流行りものを基本にしてやってきたね。「バカ殿」から始まって、「ちびまる子ちゃん」「サザエさん」「ドラえもん」「アンパンマン」と、最初は人気アニメをやっていた。被り物はビーチボールに紙を何枚も貼って手作りしていたんだ。
そして、「マツケンサンバ」や「AKB48」「ゴールデンボンバー」「きゃりーぱみゅぱみゅ」と、仮装とダンスにこだわってやるようになった。
◆演じている人は
青年部の「立青会」を中心にやっている。
◆見どころ・楽しみ方
派手なパフォーマンス、最新のダンシング、自我を忘れるメイキングだな。特に女装にはずいぶん力入れったっけね。お客さんが手拍子したりして盛り上げてくれると、演じるほうも益々調子に乗れるようだ。それからダンスは、見ている人もその場で一緒に踊れるようなものを選んでいるので、だんだん踊り手は増えてくる。参加型になっているので、ぜひ一緒に踊って欲しいね。
◆エピソード
やっぱり、平成元年に初めて屋台を出した時の「バカ殿」だな。当時テレビで爆発的な視聴率だったから大ウケしたんだ。トラックの屋台に白塗りした二人のバカ殿を乗せて、演じる場所では、志村けんのステップみたいなのを軽く踊っていたっけ。パンダやウサギの着ぐるみも借りてきて一緒に歩いたから、子供たちの人気の的だった。流行ものをすることやメイクは、あの時から始まっていたんだな。
演じたあとに、小さなお菓子をあげる「じゃんけん大会」は、毎回子供がいっぱい押し寄せて大変盛り上がったね。時間なくなって「あと終わり」って断らんなねほどだったな。
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参考動画第2区 田中 区長 白田 孝さん◆テーマ
初めは田楽提灯をトラックにたくさん載せて何年かまわっていたけど、峯壇あたりが趣向こらしはじめたので、田中もなにかさんなねべとなった。
一番最初は「極道の妻たち」をして、山形新聞にも載ったけど、子供達によくないかも知れない(笑)ということで、テレビでしていた日本昔話がいいんねがとなった。それから「桃太郎」「浦島太郎」「孫悟空」「花咲か爺さん」等を20数年やっている。
◆演じている人は
「二和会」の若い人達でやっている。
◆見どころ・楽しみ方
内容が原作とは少し違う展開になっている。自分達も見ている人も面白くなることを心がけているので楽しみに見て欲しい。
衣装も大道具も凝っている。衣装は、ももひきを染めたりして、それぞれ自分たちで作ってくる。花咲か爺さんが花咲かせる時は、クリスマスの電飾が一瞬で点くようなしくみを作った。本番は、1回目の旧田中屋さん前はまだ緊張していて演技が硬いから、2回目の松谷屋前あたりの公演からが一番面白いと思う。
◆エピソード
脚本は書かないけれど、練習しているうちに、最後の3日間位でストーリーがだんだんエスカレートして、原作とは違うアレンジになっていくんだ。
初めの頃に孫悟空の猪八戒をした時、恥ずかしいので、誰だがわかんねように、顔じゅう色を塗ったら子供に泣かれた。
青年部の「二和会」は、二区の「二」と、当時暴力団抗争で有名だった「一和会」をもじって付けた。ちょうどその頃に屋台出すことになって「極道の妻」をしたんだな。
去年は大雨降って、早いうちにアンプがショートして音が出なくなって、酷かったね。
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参考動画第3区 高木 区長 志藤 彰さん◆テーマ
「こども神楽」と「風神太鼓」で、台風などの風水害を追い払い、五穀豊穣と家内安全を祈願し、大谷の風神祭に多くの見物客が来てもらえるようにと頑張っている。
◆演じている人は
どちらも、小学4〜6年生が中心になるが、子供が少ない年は小学3年生や中学生まで応援してもらうこともある。
◆見どころ・楽しみ〕
子ども神楽は、大人顔負けの暴れ神楽。見物客や店に突っ込んで行ったりして、時々、神楽の耳が落ちたり顎が外れたりすることもあって「終わるまで怪我がなければいいな…」と心配になる。
風神太鼓は、少し化粧して色気を見せながら叩くんだけど、本番になると練習の時とは別人のように、風神祭にふさわしい台風を追い払う、迫力満点のばちさばきになるんだ。
◆エピソード
今から30年ほど前に、大人が代々神楽を練習していた時、それを見ていた小学3年生の子供が、段ボールで神楽の頭を作って、唐草模様の風呂敷をかぶって真似して踊っていた。風祭りの反省会で「来年子供神楽やってみんべ、風祭り盛り上がるぜ」と話がまとまり、翌年から始まった。一時、子供が少なくなった時は大人が演じたことがあった。当番で回ってきた代々神楽と「親子神楽」を演じたこともあったね。
また、当時、女の子も多かったので「お祭りには太鼓が似合うべ」ということになり、2年ほど遅れて「風神太鼓」がはじまった。最初は「大沼の浮島太鼓」の楽譜の一部を借りて叩いていたんだけれど、その後、風神太鼓にふさわしい楽譜を作ってもらい、それを若い人に覚えてもらった。当時、一生懸命習った白田和敏さんが、現在は、太鼓の先生として本番1ヶ月前から毎晩子供達を指導している。
第4区 浦小路 区長 鈴木 清さん◆テーマ
角田流大谷獅子踊り。200年前に宮城県の角田より大谷に伝承されたもので、戦後途絶えていたものを昭和47年に復活させてから毎年風祭りで踊っている。
◆演じている人は
大谷獅子踊り保存会。浦小路出身者も帰って来て参加している。
◆見どころ・楽しみ方
「喧嘩獅子」な所を見て欲しい。他の地区の獅子踊りと違って動きが機敏なんだ。
雄獅子と友獅子が喧嘩して雌獅子を取り合う物語になっている。獅子の頭に山鳥の長い尾羽が2本付いているのが雄獅子、1本が友獅子、付けていないのが雌獅子。それを見てもらうと物語もなんとなく分かると思う。
獅子の頭は鳥の羽でできているんだけど、よく取れてしまうので自分達で直している。今年は、助の巻の布施さんの飼っているチャボの黒い羽もらって付けた。車用の毛ばたきの羽を使ったりしたこともあるね。太鼓の頭の上には、日天、月天、星、風の風車がのっていて、踊る配列は、先頭に星、日天、月天、風と決まっているんだ。
行列では、天狗、お神楽、神輿と続いて、その次が獅子踊りと決まっている。踊るのは村内五ヵ所。最初に元田中屋前十字路、元堀薬屋前十字路、白田米屋前、白田電気店前、最後は鈴木石屋前で踊っている。
◆エピソード
昭和54年(1979)の風祭りの時は、リヤカーで屋台を作って引っ張った。村中下水道工事して掘っていたので、トラックの屋台を出せなかったんだ。
去年の雨は驚いたね。松谷屋さん過ぎて本部あたりでもの凄く降ってきて区長達でどうするか相談したんだ。子供の提灯行列は帰したけど、ほかはみんな最後までがんばった。今までは、どんなに雨が降っていても出発する7時前には上がるもんだった。あだなこと初めてだったね。獅子頭の羽が痛むんねがと思って心配だった。
第5区 峯壇 区長 長岡 藤夫さん◆テーマ
毎年、時代物だね。これまで「遠山の金さん」や「銭形平次」「番場の忠太郎」「宮本武蔵」「桃太郎侍」とか20種類以上、28回やった。特に水戸黄門は一番なじみで7回したな。見て下さる皆さんの祭り気分を盛り上げられるようにがんばっている。
◆演じている人は
壮年部の「峯友会」を中心に演じている。小林重敏さんが脚本書いて、白田健志さんや渡邉恵美ちゃんが演技指導しているね。役者も様々そろっているし、喋るのが得意な人にはナレーターみたいにして喋ってもらっている。
◆見どころ・楽しみ方
時代劇だけど、話の内容はその年の話題や事件を題材にして脚本を書いている。笑いもとれるような内容にしているから、楽しみに見て欲しいね。
かつらや衣装などは毎年しているから、大体そろっている。カツラは何するかによっても違うんだ。殿様用とか足軽用とかある。
当日は、昼の部は3時頃から、明鏡荘や粧坂、それから地区内で4ヵ所公演している。夜の部は村内六ヵ所でするから、合わせて十二回は公演しているな。
◆エピソード
昭和61年に、「水戸黄門」を出した頃から屋台が見直されて本格的に各区でも出すようになったようだ。
5〜6分で寸劇するにはちょっと手間の掛かるものもあって、他の区の屋台に順番を抜かれた時もあったね。どうしてもチャンバラが遅くなるんだよね。
宮本武蔵をした頃は、昼間に粧坂や真中も回っていたんだけど、安藤建設あたりで、車を舟に細工していたのが壊れそうになって冷や汗かいて帰って来たことがあった。
水戸黄門がオウム心理教の麻原彰晃を裁く話をした時は大うけしたね。麻原を演じた渡邉勳さんがそっくりだったんだ。
NHKのドラマ「利家とまつ」の時とかに、若い娘たちが出てくれた時があった。その時は華やかで素晴らしがったね。
第6区 東 区長 小野 隆弘さん◆テーマ
お神楽が部落まわりになってからは、「仮面ライダー」とか「安来節」とか、いろんな屋台を出したね。 でも、毎回別の物をするのは大変だとなって「花笠音頭」を踊るようになった。平成元年頃、駐在所の奥さんが尾花沢の花笠踊りの保存会の人だったから、熱心に教えてもらったんだ。
ところが、若い人が少なくなり継続が大変になり、4年前頃から、練習が少なくずーっとできるものをと考え「風神神輿」を作り練り歩くことを公民館の役員会で決めた。
◆演じている人は
壮青年会で若い人が中心となって担いでいる。寒河江の神輿会のみなさんに「担がせて欲しい」とお願いされ、毎年ひと区間分を応援として担いでもらっている。
◆見どころ・楽しみ方
神輿は、少人数でも担げるように軽い発砲スチロールで作ってある。毎年手直しして、だんだん改良されているね。屋根のてっぺんには、カラス除けの鷹の飾りをホームセンターから買ってきてくっ付けている。
寒河江の神輿会の皆さんは本格的に担ぐね。掛け声だけでなく、踊り方に迫力があり、ノーエ節みたいな即興の歌で東を応援するように歌ってもくれる。去年はお神楽当番だったから神輿はしないつもりだったけれど、来てくれて東部落内だけ担いでくれたんだ。
◆エピソード
花笠踊りをしていた頃、子供達に駄賃として5,000円あげていたら、他の部落から「けすぎ」と言われた。 でも、大変な練習は毎日毎日続くし、なにより、子供達に山形の伝統芸能としての花笠踊りを身体で覚えさせて、社会に出てから、忘年会とかなにかの時に役たたせて欲しいという思いがあったんだ。 傘をくるくる回す本場の踊りで迫力あるし、一生の宝になるものだからね。
(取材/平成26年3月)
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大谷の風神祭→
小径第15集『大谷風神祭』
2014.08.18:朝日町エコミュージアム協会